画像ギャラリー
- 2018年1月12日
- 「しきさい」搭載センサSGLIの観測データ取得について
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、平成29年12月23日10時26分(日本時間)に種子島宇宙センターから打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)は、平成30年1月1日から搭載している多波長光学放射計(SGLI)による地球の観測を開始しました。地上局の通信確認のための試験電波により平成30年1月1日から6日(日本時間)にかけて取得された観測画像のいくつかをお知らせします。
SGLIによる関東・中部地方の植生
図は、気候変動観測衛星「しきさい」搭載のSGLIが2018年1月6日午前10時30分頃(日本時間)に関東上空で取得した250m分解能の観測画像で、左に人間の肉眼での見た目に近い色で合成したトゥルーカラー画像※、右に近赤外域の波長を使用して合成したナチュラルカラー画像※※です。静岡県や関東山地東側に広がる常緑針葉樹はトゥルーカラーでは暗く写り落葉性樹木との区別がはっきりしませんが、植生に感度が高い近赤外域を用いるナチュラルカラーでは鮮やかな緑色で表されています。一方、房総半島等に点在するゴルフ場は、芝生が色褪せる時期のため、緑色ではなく薄黄色の斑点状に見えています(右下の拡大図参照)。
- ※:赤,緑,青にSGLIのVN8, VN5, VN3の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
- ※※:赤,緑,青にSGLIのVN8, VN11, VN3の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
SGLIによるガンジス川付近のエアロゾル
図は、気候変動観測衛星「しきさい」搭載のSGLIが2018年1月3日午前11時40分頃(日本時間)にインド上空で取得した観測データによる合成画像で,左からトゥルーカラー合成画像※,VN01の近紫外域画像,PL2の偏光度画像をそれぞれ示しています。SGLIは地表面からの反射の影響が少ない近紫外域の光を観測することが可能であり,また,赤や近赤外域の光の偏光を計測するチャンネルを持っています。近紫外域チャンネルそして偏光チャンネルを用いることで、陸上のエアロゾルの情報を従来よりも高精度に抽出することができます。近紫外域チャンネル画像では、ガンジス川下流の河口付近(画像中央)から海上にかけて非常に濃いエアロゾルが分布している様子が確認できます。また偏光度画像では、太陽光が海面で反射した光(サングリント)が偏光している様子が確認できます。今後、偏光観測機能の健全性、性能を確認した上で、エアロゾル観測に適した斜め45度方向に鏡筒を傾け、偏光チャンネルによるエアロゾル観測を行っていく計画です。
- ※:赤,緑,青にSGLIのVN8, VN5, VN3の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
SGLIによる日本近海の海色
図は、気候変動観測衛星「しきさい」搭載のSGLIが250m分解能で観測した2018年1月1日午前11時10分頃(日本時間)の対馬海峡周辺域(中央)と2018年1月6日午前10時28分頃(日本時間)の関東沿岸・沖合い(右)のカラー合成画像※です(左に画像の切り出し位置を示した地図を示します)。SGLIは暗い海面を高感度に観測可能な海洋観測用チャンネルを備えており、水中の懸濁物質やプランクトンの濃度差によって生じる僅かな色の違いを捉えることができます。図に示すように、沿岸海域の海色の様子を詳細に観測することで、漁場予測や赤潮発生状況の把握に役立てられると期待されています。
- ※:赤,緑,青にSGLIのVN7, VN6, VN4の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
SGLIによるオホーツク海の海氷分布と日本列島
図は,気候変動観測衛星「しきさい」搭載のSGLIが2018年1月6日午前10時20分頃(日本時間)にオホーツク海から日本列島上空で取得した250m分解能の観測データを用いて,人間の肉眼での見た目に近い色で合成したトゥルーカラー合成画像※です。積雪,海氷や雲は白色に,海は紺色に,陸域は茶色に見えています。
- ※:赤,緑,青にSGLIのVN8, VN5, VN3の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
図は,気候変動観測衛星「しきさい」搭載のSGLIが2018年1月6日午前10時20分頃(日本時間)にオホーツク海から日本列島上空で取得した250m分解能の観測データによる疑似カラー合成画像※(左:全体図,右:黄枠内の拡大図)です。積雪や海氷は濃い水色に表現されており,水雲(白色)や氷雲(積雪よりやや明るめの水色)と識別しやすくなっています。大陸からの冷たい季節風の吹き出しによって形成された海氷が,樺太の東岸に沿って海流に乗って南下している様子が捉えられています。
- ※:赤,緑,青にSGLIのSW3, VN11, VN8の各チャンネル反射率を割り当てたRGB合成画像
今後も引き続き初期機能確認(打上げ後3か月間)を行った後、地上観測データとの比較などによるデータの精度確認やデータ補正等を行う、初期校正検証を実施する予定です。