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研究プロダクト紹介

ASW
全天候海上風速 All-weather Sea Surface Wind Speed
SST
10GHz(高解像度)海面水温 10-GHz (high-resolution) Sea Surface Temperature
LST
地表面温度 Land Surface Temperature
TSI
薄氷検出 Detection of Thin Sea Ice
PWL
陸上積算水蒸気量 Total Precipitable Water over Land
HSI
高解像度海氷密接度 High Resolution Sea Ice Concentration
SIM
海氷移動ベクトル(北極域) Sea Ice Motion Vector


全天候海上風速 All-weather Sea Surface Wind Speed (ASW)

AMSR2全天候海上風速プロダクトは、6GHz帯と10GHz帯の観測データを有効に使用することで、 海上風速標準プロダクトに用いられているアルゴリズムでは算出できない強風域や強降雨域(台風・低気圧など)における海上風速を算出した研究プロダクトです。
AMSR2のチャンネルとしては低周波である6GHz帯と10GHz帯は、他の高周波帯のチャンネルに比べて、降雨や雲、水蒸気などによるマイクロ波の減衰の影響を受けにくい特徴があります。これを用いて、降雨がある場所における海上風速を推定し、研究プロダクトとして提供をおこなっています。
AMSR2全天候海上風速は、これまで衛星による観測が困難であった、熱帯低気圧などの中心部における風速の計測データが得られることから、気象庁の台風解析でも現業的に利用されるなど、利用への期待が高まっています。
なお、AMSR-E/AMSR2全天候海上風速プロダクトの空間分解能は約60kmで、海上風速標準プロダクトの約15kmと比べると低分解能となっています。


全天候海上風速 海上風速 降水量
全天候海上風速と海上風速の比較 (Typhoon HIGOS 2015/2/10 AMSR2による観測)

右の降水量分布画像で見られるような台風中心部の強雨域において、全天候海上風速(左)では海上風速が算出されています。標準プロダクト海上風速(中央)では有効なデータが取得されず、データとしては欠測(中央図中の黒い領域)となります。

全天候海上風速の空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
全天候海上風速
ASW
60 km 7 m/s
(目標精度)
精度検証結果
0 ~ 70 m/s
海上風速(標準プロダクト)
SSW
15 km 1.0 m/s
(標準精度)
精度検証結果
0 ~ 30 m/s

10GHz(高解像度)海面水温 10-GHz (high-resolution) Sea Surface Temperature (SST)

AMSR-E/AMSR2 10GHz海面水温プロダクトは、10GHz帯の観測データを海面水温算出に使用するアルゴリズムにより作成される研究プロダクトです。
このアルゴリズムにより、6GHz帯の観測データを用いて算出される標準プロダクトより、さらに空間解像度の高い海面水温データを得ることができます。
マイクロ波放射計による海面水温は、水温に感度の高い低周波帯の放射輝度より算出されますが、陸地からの放射輝度の影響を大きく受けるため、陸地に近い沿岸海域では、有効なデータを得ることができません。10GHz帯は6GHz帯よりも高い空間分解能で放射輝度の観測がおこなえるため、陸地の影響を受ける範囲が狭まり、より陸地に近い海域までデータを得ることが可能です。なお、10GHz帯による水温算出は、低温域において精度が悪くなることから、有効な水温算出の下限を9℃としています。また、降雨がある海域においても、精度上の課題から欠測としています。

海面水温(6GHz/10GHz)の比較 (2014/7/16 AMSR2による観測)

10GHz海面水温(研究プロダクト)では、6GHz海面水温(標準プロダクト)と比較して空間分解能が高くなっているほか、沿岸域の欠測領域が少なくなっています。

海面水温プロダクトの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
10GHz 海面水温(研究プロダクト) 30 km ±0.8 ℃
(目標精度)
精度検証結果
9 ~ 35 ℃
海面水温(標準プロダクト) 50 km ±0.5 ℃
(標準精度)
精度検証結果
-2 ~ 35 ℃

なお、10GHz海面水温のデータは、研究プロダクト単体としては提供をおこなわず、海面水温標準プロダクトのhdf5ファイル中に格納(Geophysical Dataの2層目)する形で提供をおこなっています。10GHz海面水温プロダクトの使用をご希望の方は、「地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)」より、海面水温標準プロダクトを取得してください。

地球観測衛星データ提供システム(G-Portal)

地表面温度 Land Surface Temperature (LST)

AMSR2地表面温度プロダクトは、37GHz垂直偏波輝度温度観測データから算出される研究プロダクトであり、全球の地球表面温度を1日2回、昼夜・天候を問わず測定することが可能です。
しかし、衛星から見た地球の表面の温度を観測しているため、森林域や疎な植生域など地表面の種類により、観測している高さが異なり、精度も異なります。また、降雨域ではマイクロ波の減衰があるため、晴天域と比較し精度は劣りますが、品質フラグデータに降雨情報を付加した上で観測値を提供しています。

Day Night
2日平均地表面温度 (2017/6/1~6/2 AMSR2による観測)
地表面温度プロダクトの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
地表面温度(研究プロダクト) 15 km 森林域±3K
疎な植生域±4K
(目標精度)
精度検証結果
0 ~ 50 ℃

薄氷検出 Detection of Thin Sea Ice (TSI)

AMSR2標準プロダクトである海氷密接度プロダクトは、ピクセル内に含まれる海氷の割合を推定しますが、ピクセルのほとんどを海氷が占める場合に、どのような厚さの海氷が分布するのかを区別しません。
AMSR2薄氷域検出プロダクトは、18GHz帯の垂直偏波輝度温度と水平・垂直偏波の輝度温度差の特徴空間から、海氷密接度が90%以上のピクセルについて、厚さ30cm以下の海氷で構成されることを検出するプロダクトです。
検証は、MODIS MYD06プロダクトで晴天域と判定された領域について、別途MODISのバンド1, バンド2の反射率から薄氷域を推定したものと比較することによって行います。
アルゴリズム自体はオホーツク海を主対象に開発されましたが、北半球の他の季節海氷域にも適用可能とされ、ベーリング海、ハドソン湾も検証領域としました。

オホーツク海 ベーリング海 ハドソン湾
領域別の薄氷と海氷密接度
薄氷検出プロダクトの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
薄氷検出(研究プロダクト) 15 km 80%
(目標精度)
精度検証結果
N/A

陸上積算水蒸気量 Total Precipitable Water over Land (PWL)

AMSR2標準プロダクトである積算水蒸気量プロダクトは、海域しか推定していません。海面の放射率は正確に求めることができること、海面の輝度温度が比較的低く大気中の水蒸気のシグナルと容易に見分けられることから、23GHz付近の水蒸気吸収帯と、18GHzと36GHzの窓チャネルを利用して、海上の積算水蒸気量(可降水量)を推定しています。これに対して、陸面は均質ではなく、地表面放射率はその場の環境や季節によって変動することから、陸面上で大気中の水蒸気シグナルを分離することは困難でした。
AMSR2陸上積算水蒸気量プロダクトは、18GHz帯と23GHz帯のそれぞれの偏波(水平偏波と垂直偏波)の違いを利用して、雪氷域や植生域を除く陸上での積算水蒸気量を求めています。
プロダクトの検証は、海上の積算水蒸気量と同様に、全球のラジオゾンデ網及び、地上設置型GPS受信機を利用します。全球の陸上について、AMSR2陸上積算水蒸気量の推定値について、マッチアップしたラジオゾンデ及びGPS受信機で観測された積算水蒸気量を真値として比較し、二乗平均平方根誤差(RMSE)を求めます。

TPW PWL
AMSR2海上積算水蒸気量標準プロダクト(左)と陸上積算水蒸気量研究プロダクト(右)の比較
陸上積算水蒸気量プロダクトの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
陸上積算水蒸気量(研究プロダクト) 15 km ±6.5kg/m²
(目標精度)
精度検証結果
0 - 70kg/m²

高解像度海氷密接度 High Resolution Sea Ice Concentration (HSI)

AMSR2標準プロダクトである海氷密接度プロダクトは、ピクセル内に含まれる海氷の割合
を推定しますが、空間解像度が15kmであり、詳細な海氷分布を把握することが難しい場合
があります。
AMSR2高解像度海氷密接度プロダクトは、海氷生成および成長に伴う輝度温度および放射
率の変化およびそれらの関係に基づき、89GHz帯の水平・垂直偏波の輝度温度差の特徴空
間から、高緯度洋上における空間解像度5kmの海氷密接度を検出するプロダクトです。
検証は、MODIS MYD06プロダクトで晴天域と判定された領域について、別途MODISの
可視域(Band1: 620-670nm, Band3: 459-479nm, band4: 545-565nm)の反射率から海氷密
接度を推定したものと比較することによって行います。
アルゴリズム自体は北極海を対象として開発されましたが、対象領域をオホーツク海が含
まれる北緯43度以北に拡張して公開しています。


オホーツク海
高解像度海氷密接度プロダクトの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
高解像度海氷密接度
(研究プロダクト)
5 km ±15%
(目標精度)
精度検証結果
0 - 100%

海氷移動ベクトル(北極域) Sea Ice Motion Vector (SIM)

海氷移動ベクトル(cm/s)は、海氷が移動する距離と方向を表す研究プロダクトです。極域海洋における大気海洋間の運動量交換を定量化するために不可欠な物理量であり、日々得られる輝度温度画像の空間的な特徴を追跡することで推定されます。 現在、推定精度向上のために、使用チャンネルや異常値検出方法が異なるアルゴリズムから出力される二種類のプロダクトをそれぞれ提供しています(アルゴリズムの違いについては“精度検証結果”をご覧ください。)
*北極域プロダクトを先行公開中。

Sea Ice Motion Vector (Y) V100

Sea Ice Motion Vector (R) V100

海氷移動ベクトルの空間分解能・精度・計測範囲
プロダクト 空間分解能 目標精度 計測範囲
海氷移動ベクトル
(研究プロダクト)
50 km ±6 cm/s
(目標精度)
精度検証結果
0 - 40 cm/s