ADEOS-II

ADEOS-II home EORC home IMAGE February 2, 2007

GLIとPOLDERで見た海洋(海面の反射)

今回は、「GLIとPOLDERで見た海洋」について、海面の反射特性を対象とした解析例をご紹介します。

Fig.1は、GLIによって2003年4月10日に取得された250m地上分解能のデータから作成したアラビア海(Fig.1(右)の矩形域(A)に対応)の画像で、赤,緑,青の各々にチャンネル22(660nm),チャンネル 21(545nm),チャンネル20(460nm)のデータが割り当てられています。また、Fig.2の画像は、Fig.1の矩形域内を拡大したものです。これらの画像から、カッチ湾河口付近(Fig.2右側)で色の異なるパターンを確認することができます。このパターンは、海水から射出された光のスペクトル情報を反映しているものであり、こういったGLIの250m分解能観測から、河口における懸濁物質の分布等を詳しく把握することが可能です。

それに対して、Fig.2の左側(Fig.1の海洋域中心からやや右側の縦方向に広がる白いパターン)は、サングリントと呼ばれる海面における強い鏡面反射光が観測されているもので、この反射特性は風などによる海面の状態を反映して変化します。ここでFig.3は、Cox and Munk(1956)の風速依存性サングリントモデルにFig.1の画像に対応する観測の幾何学条件(観測点から見た太陽とGLIの天頂角と方位角)を適用し、海上風速が5m/sの状態におけるサングリントの大きさをシミュレートした画像です。図中の白い領域の分布(サングリントの強い領域)は上述のFig.1の海上に広がる輝度の高い(白く見える)領域に概ね一致していますが、細部においては現実の海面状態との違いが反射特性の差となって現れていることがわかります。

Fig.1 GLIで見たアラビア海のTrue Color画像(左)とその領域(右)
(2003年4月10日観測,R:660nm(CH22),G:545nm(CH21),B:460nm(CH20))


Fig.2 GLIで見たアラビア海のTrue Color画像(Fig.1矩形域内の拡大)
(2003年4月10日観測,R:660nm(CH22),G:545nm(CH21),B:460nm(CH20))


Fig.3 サングリント領域シミュレーション結果
(観測幾何情報:Fig.1に対応、海上風速:5m/sを仮定)

次に、上記のGLIデータと同時に取得されたPOLDERの画像をFig.4(A)〜Fig.4(D)に示します。画像は、赤,緑,青の各々に865nm, 670nm,443 nm帯の観測データを割り当てています。POLDERは空間分解能が約7kmとGLIに比べて劣りますが、GLIとは異なり偏光の情報を得ることが可能です。ここで、Fig.4(A)は全観測輝度、Fig.4(B)は偏光輝度、そして、Fig.4(C)とFig.4(D)は偏光輝度の水平成分と垂直成分(Fig.5参照)を各々表しています。画像は2次元のアレイ型センサによって前後左右2次元の領域を撮像したデータでることから、GLIの画像と異なり、サングリントの領域が、画像中央よりやや右側の狭い領域に現れています。この画像に見られるサングリント領域では、Fig.4(B)の偏光輝度にもサングリント領域が現れており、この領域での反射光が強く偏光されていることがわかります。また、Fig.4(C)とFig.4(D)から、この偏光輝度は、水平方向に強く偏光されており、海面における偏光の特性(Fig.6)を反映していることがわかります。このような海洋上における偏光の観測情報には、主に、大気(特に気体分子)の散乱による成分と海面の反射による成分が含まれていますが、もし、大気の情報を得ることが可能であるならば、POLDERのような観測から海面の反射特性に関する情報を得ることができるかもしれません。

(A)全観測輝度 (B)偏光輝度
(C)偏光輝度(水平成分) (d)偏光輝度(垂直成分)
Fig.4 GLIで見たアラビア海の画像
(2003年4月10日観測,R:865nm,G:670nm,B:443nm)


Fig.5 POLDER偏光画像における偏光方向(垂直・水平)の定義


Fig.6 海面における反射光の偏光特性

(※The POLDER2 data are distributed from CNES.)
[Back] [Home]

Copyright @2006 Japan Aerospace Exploration Agency, Earth Observation Research Center
All rights reserved.