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ADEOS-IIは1kmと250mの空間解像度をもつ多波長光学放射計GLIの他にも、多波長のマイクロ波センサAMSRや海上風ベクトルを観測するSeaWinds、7kmの空間解像度で偏光・多方向観測を行なう光学放射計POLDER-2といった様々なセンサを搭載しており、これらを効果的に利用することで地球の様々な姿を捉えることができます。このたび、特に光学放射計であるGLIとPOLDER-2の組み合わせに着目し、5回程度のシリーズとして掲載していきます。第1回目の今回は、「GLIとPOLDERで見た陸域植生」と題し、GLIによる単一方向からの高分解能観測とPOLDERによる多方向観測の組み合わせによる地表被服情報の抽出の可能性についてご紹介します。
![]() Fig. 1 GLIで見たアマゾン川流域のTrue Color画像 (2003年7月17日観測,R:660nm(CH22),G:545nm(CH21),B:460nm(CH20)) | ||
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![]() Fig. 3 GLIで見たヤクーツク周辺のTrue Color画像 ((2003年9月7日観測,R:660nm(CH22),G:545nm(CH21),B:460nm(CH20)) | ||
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![]() Fig. 5 データ観測領域((A)アマゾン川流域,(B)ヤクーツク周辺) |
次に、POLDERによって取得された Fig.1, 3と同一地域における反射率の画像をFig.6とFig.7に示します。それぞれ、(A)は670nm波長帯の反射率、(B)は865nm波長帯の反射率を表しています(Fig.6:2003年7月17日観測,Fig.7:2003年9月5日観測)。 POLDERは約7km相当の地上空間分解能ではあるものの,同一ターゲットに関してほぼ同一の時刻で最大14の方向からの観測データを得られるという特徴を持っています。
Fig.2(A),(B)およびFig.4(A),(B)の白色矩形内に相当するPOLDERの多方向視観測データをプロットしたものがFig.8とFig.9です。左側の図は太陽(赤)または各方向視観測時のセンサ(青)の天頂角(円の中心0度から同心円外側に向かって10度刻みの線で表示)とセンサの太陽方向との方位角差(図の中心から真下側の線を基準に反時計回りに正、時計回りに負で表示。0度が後方散乱方向)を示しています。また、右側の図は横軸にセンサの天頂角(正の方向が後方散乱方向)、縦軸に反射率(左側軸)または植生指数(右側軸)をとったもので、3つの色は、青と赤が各々670nmと 865nmの反射率、緑が植生指数の値を表しています(実線は各プロットを3次関数でフィッティングしたもの)。
これらの図から、Fig.6とFig.7の2つの領域は同様な観測幾何条件(太陽との相対方位に対しては対称)を持ちながら、その観測方向への特性が異なり、特に865nm波長帯の反射率ではアマゾン川流域データにおける強い後方散乱および前方散乱域での極小の傾向がわかります。植生域での反射が大きい865nm波長帯では大気の散乱光による寄与は相対的に小さくなることから、前方・後方散乱方向に関する反射特性の差がアマゾン川流域の広葉樹林帯とヤクーツク付近の針葉樹林帯の植物種の違いや密度・生育状態の違いを反映した情報を含んでいるものと考えられます。このように、GLIのような単一方向からの高分解能観測情報にPOLDERのような多方向観測の情報を加えることにより、より詳細な地表被服の判別や新たな物理量推定アルゴリズムの開発が期待されます。
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Fig. 8 POLDERの多方向観測データから得られた反射率と植生指数の方向依特性(アマゾン川流域) |
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Fig. 9 POLDERの多方向観測データから得られた反射率と植生指数の方向特性(ヤクーツク付近) |