GLI積雪不純物濃度・粒径(865nmチャンネル使用)・粒径(1.64umチャンネル使用)・ 雪面温度標準プロダクト利用上の注意書き

アルゴリズム開発PI:Stevens Institute of Technology / Knut Stamnes
プロダクト検証PI:気象研究所 / 青木 輝夫
EORC内雪氷プロダクト検証担当:堀 雅裕


今回、公開するGLI積雪不純物濃度、粒径(865nmチャンネル使用)、粒径(1.64umチャンネル使用)、雪面温度 標準プロダクトについて、以下の点について留意された上での御使用お願いします。

 Ver.1プロダクトに比べ、以下の点について改善あるいは追加が行われている。
  • 新たに2つの物理量を追加した。
    • 積雪粒径(1.64umチャンネル使用)
    • 雪面温度
  • Ver.1で誤差を大きくする要因となっていた森林などの植生密度が高い積雪域を解析対象から除外した。
本プロダクト(Ver.2, 2004年11月リリース)の不純物および粒径に対する精度の評価(目標値: 不純物30%,粒径(865nmチャンネル) 20%,粒径(1.64umチャンネル) 20%に対する現時点での到達精度:それぞれ200%,75%,400%)は,2002-2004年に 北海道東部およびアラスカバロー近郊積雪域にて行われた地上検証観測の結果ならびに当該期間のMODISデータの解析値(GLIアルゴリズムを使用)を用いて行われたものである。 また,雪面温度(目標:2K,到達:5K)については,MODISの海氷温度プロダクト(MODIS IST:MOD29E1D)との比較を行うことで評価された精度である.不純物および粒径については,現状では地上観測データが依然不足しており,信頼性の高い統計的評価はなされていない。 また,現時点で,以下の点について精度が悪い箇所が存在することが分かっている。

以下の地上観測対象物に関しては,衛星データの一画素の視野内に積雪以外の観測対象物が入ることにより,積雪粒径・不純物濃度が実際よりも大きく見積もられることが予想される。

  • 海氷密接度が小さい海氷域
  • 積雪深が浅い積雪域
  • 比較的密度が大きな植生域(北方林など)
例えば、密接度が小さい海氷域においては,海水面が植生域と同様の効果を引き起こすと考えられる。また,積雪深が10cm以下の積雪域においては,粒径・不純物濃度を抽出する波長帯の光が積雪層下端にまで到達してしまうため,底面(土壌,海氷など)の光学的特性の影響を受け,積雪物理量の抽出精度の低下を引き起こすと考えられる。 また,植生域においては,Ver.2において植生密度の高い領域が解析対象から除外されてはいるものの,シベリアなどの内陸部において依然として不純物の高濃度領域(2~3ppmw以上)が見られる.これらの地域では地上検証が行われていないため、実際に不純物濃度が高いのか植生による見かけ上の値であるのかは現時点では判断できていない。したがって、本プロダクト利用の際にはこの点に注意が必要である。

上記に挙げた物理量抽出精度を低下させる要因については,今後,他衛星センサープロダクト(植生分布,海氷密接度,積雪深分布など)との比較・検証 を通して,抽出物理量に関する信頼性情報(品質フラグなど)の追加を行いプロダクト品質の向上を行う。また,MODISなどGLIに類似した他衛星センサーとの地上同期検証観測を継続し,Ver.3(2005年)およびそれ以降のデータリリースに向けてアルゴリズムの最適化を行っていく予定である(今後の検証計画)。

 


| GLI雪氷検証 |