GLI積雪粒径・不純物濃度標準プロダクト利用上の注意書き

アルゴリズム開発PI:Stevens Institute of Technology / Knut Stamnes
プロダクト検証PI:気象研究所 / 青木 輝夫
EORC内雪氷プロダクト検証担当:堀 雅裕


今回、公開するGLI積雪粒径・不純物濃度プロダクトについて、以下の点について留意された上での御使用お願いします。

本プロダクト(Ver.1, 2003年12月リリース)に対する精度の評価(目標値:粒径20%,不純物30%に対する現時点での到達精度:それぞれ100%, 400%)は,4月にアラスカバローにて行われた地上検証観測の結果および日照北極域の低高度地域のGLIデータを用いて,EORCにて行われたものである。 現状では,地上観測データが不足しており,信頼性の高い統計的評価はなされていない。現時点で,以下の点について精度が悪い箇所が存在することが分かっている。

以下の地上観測対象物に関しては,衛星データの一画素の視野内に積雪以外の観測対象物が入ることにより,積雪粒径・不純物 濃度が実際よりも大きく見積もられることが予想される。

  • 比較的密度が大きな植生域(北方林など)
  • 海氷密接度が小さい海氷域
  • 積雪深が浅い積雪域
例えば、 植生域においては, 一視野内に積雪域と植生域(樹冠の葉など)が混在し,見かけ上煤などの不純物で汚れた雪面と区別できないことが予想される。密接度が小さい海氷域においても,海水面が植生域と同様の効果を引き起こすと考えられる。また,積雪深が10cm以下の積雪域 においては,粒径・不純物濃度を抽出する波長帯の光が積雪層下端にまで到達してしまうため,底面(土壌,海氷など)の光学的特性の影響を受け,積雪物理量の抽出精度の低下を引き起こすと考えられる。

上記に挙げた物理量抽出精度を低下させる要因については,今後,他衛星センサープロダクト(植生分布,海氷密接度,積雪深分布など)との比較・検証 を通して,抽出物理量に関する信頼性情報(品質フラグなど)の追加を行いプロダクト品質の向上を行う。また,MODISなどGLIに類似した他衛星センサーとの地上同期検証観測を継続し,Ver.2(2004年6-7月頃) およびそれ以降のデータリリースに向けてアルゴリズムの最適化を行っていく予定である(今後の検証計画)。

 


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